2012年02月29日

おなかの風邪

かぜのお話の続きで,
おなかの風邪について,お話ししましょう.

病院で時々言われますよね,
おなかの風邪,
って.

正式の病名でいうとしたら,
ウイルス性急性胃腸炎
です.

原因になるウイルスは
ノロウイルス・ロタウイルス・アデノウイルス・・・
など.

特に冬場はノロウイルス・ロタウイルスの流行時期です.

ほとんどの場合,自然に回復するのですが,
症状の重い場合は
脱水に対する水分・電解質・糖分などの補給や
下痢止め・吐き気止めが処方されます.

ただ,いわゆるふつうの風邪同様,
臨床の現場で,何のウイルスが原因か明らかになることは
ほとんどありません.
ですから,一見軽いウイルス性の胃腸炎のようにみえるものの中に
細菌性腸炎や,感染以外の原因などが
含まれていないかの注意が必要になってきます.

他の病気と同じく,長引いたり症状がひどくなったりした時には
再度,受診してみることが大切ですね.  


Posted by ママさんドクター  at 15:03Comments(0)医療お役立ち情報

2012年02月10日

かぜの予防

かぜの予防というと

手洗い、
うがい、
マスク、
はたまたビタミンCなど
いろいろ言われてはいますが、

かぜ予防に明らかに効果的!!
というエビデンスが得られたものは実はほとんどありません。

でも、手洗いは、かぜはともかくとしても、
感染症全般を予防する効果は報告されているようですから、
習慣づけておくほうがよいですね。
インフルエンザは飛沫感染が主体ですが、
ライノウイルスなどのかぜのウイルスは、
接触感染が中心とされています。
患者さんが自分の鼻や口を触れた手で周りを触り、
周囲の人がまたそこを触れた手で
自分の鼻・口・目などを触れて感染がひろがってしまうわけです。
そう考えると理論的にも手洗いは効果的と言えます。

うがいは、水で一日3回うがいをすると
かぜが予防できたとする報告があります。
でも、ヨード液を用いたうがいでは効果がなかったとされています。
ヨード以外のうがい液でも同様のようです。
うがいをするなら、水で良いので、
一日に何度か行ったほうがよいのでしょう。  


Posted by ママさんドクター  at 16:58Comments(0)医療お役立ち情報

2012年02月08日

病院でもらうかぜ薬

市販の総合感冒薬はかなりの種類ありますが、
病院で処方される総合感冒薬は
あまり種類がありません。

かぜの患者さんが来た時、
医師は、まず・・・、
抗生物質・抗ウイルス剤などが必要な病気
緊急性の高い病気、
が隠れていないかを診ています。
熱のせいや、お食事が取れなかったりで、体力が落ちていないか
(全身状態は良好か、なんて言いますが)
そんなところも診ています。

通常のウイルス性の上気道炎であれば、
2~3日で自然に治っていくはずです。
本来はお薬は不要です。
でも、患者さんが辛くてたまらない症状があれば、
それを和らげるための薬を処方します。

そんな時、総合感冒薬は、便利と言えば便利でしょうが、
いろいろな作用の薬が初めから含まれているので
不必要な成分まで飲んでもらうことになってしまいがちです。
鼻水・鼻詰まりがないのに抗ヒスタミン剤も入っていたりとか・・
してしまいます。

実は、病院で処方される総合感冒薬は
含まれている成分が市販のものに比べとてもシンプルです。

解熱剤と抗ヒスタミン剤に無水カフェイン位のものが
ほとんどです。
特に注目は、咳止め成分。
これは含まれません。
(抗ヒスタミン剤は上気道炎の咳に有効とする報告もありますが・・)
(はたまた、カフェインは喘息の症状を和らげるとされていますが・・・)

かぜで咳が出るという場合、
単に咳止めで咳さえ止めればよいとはなりません。
気管支炎の症状ではないか?
気管支喘息の症状ではないか?
といったチェックが必要で、
治療もそれに応じて変えなくてはいけません。
(長引く咳・・・の記事も見てみて下さい。)

実は、そんなことを考えながら、
主治医の先生は皆さんにかぜ薬を処方しているのです。
  


Posted by ママさんドクター  at 18:02Comments(0)とうきょうキッズメディカルスクール

2012年02月07日

総合学習

昨日は,文京区立金富小学校の6年生に,
総合学習の時間を使って
心臓のしくみのお話をしてきました.

1-2時間目の時間を頂きましたが,
つい脱線して,
予定していなかったことまでお話ししたりしてしまい,
中休みまで大きくずれ込んでの授業になってしまいました.
でも,6年生全員最後まで集中して聞いてくれました.
前半は約1時間,休みなくど~っとお話をしたのですが,
ちゃんとついてきてくれましたね.

いつものキッズメディカルは,
医学の事に興味津々といったお友達が集まっています.
なんと3年生も連続90分の授業に最後まで,集中して参加しているのを見て,
外部講師の先生がいつもビックリします.

でも,昨日の授業は,小学校の総合学習の時間で,
理科や生物などの授業が,実は苦手~,キライ~という生徒さんもいたはず.
それなのに,みんなしっかり参加してくれてとても嬉しかったです.
休み時間なしでも大丈夫だったかも,と思うくらいでした.

金富小学校6年生のみなさん,
いろいろなことを勉強して知識を深めるって
とっても楽しいことですよ.
心臓の単元も,覚えることが一杯でいや,って思っていたかもしれないけれど
しくみを考えれば丸暗記なんかしなくてもちゃんとわかる!
ニュースで時々出てくる健康に関する話題もきちんとわかるようになる!

体の事は勿論,いろいろな事に興味を持って
中学生になってもしっかり勉強して下さいね.
  


Posted by ママさんドクター  at 15:23Comments(0)とうきょうキッズメディカルスクール

2012年02月04日

かぜ薬

今日はかぜ薬の話を・・・

総合感冒薬、いわゆるかぜ薬は
一般用医薬品として
薬局で処方箋なしで買うことができます。

いろいろな製薬メーカーの総合感冒薬があり、
その売り上げは
年間800億円にのぼるとか。

どれが一番よく効くのかと考えたくなりますが、
その内容にはあまり違いがありません。

それは、厚生労働省のかぜ薬の製造承認基準に従って作られているためです。

この基準では、
アスピリンまたはアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛剤を含み、
抗ヒスタミン薬や鎮咳薬は定められたもののなかから1つだけ配合できる
となっています。
その量も決められています。

熱と喉の痛み、それに鼻水・鼻づまり、咳の症状に対する成分が中心
というわけです。

あとは各メーカー、
ビタミンや、その他基準が決められていない成分を配合して
差別化を図っています。

そもそもかぜ薬は、かぜのウイルスをやっつける効果はありません。
自分の抵抗力でかぜが治るまでの間、
辛い症状を和らげるもの、
です。

かぜを治す薬ができたら、ノーベル賞ものと言われてきました。
でも、実は今や、それは難しいことではないのかもしれませんが、
かぜの原因ウイルスは多数あり、
もともと自然に治る病気であるかぜで、
原因ウイルスをつきとめ、抗ウイルス薬を処方する、
ということ自体が現実的でないのかもしれません。



  


Posted by ママさんドクター  at 16:10Comments(0)とうきょうキッズメディカルスクール

2012年02月03日

かぜと抗生剤

熱とのどの痛みだけ
熱と鼻水だけ
まして,熱だけ・・・では,
かぜとは限らないので注意が必要ですが,

くしゃみ・鼻水・鼻づまり・・・といった鼻炎症状と,
咽頭痛や違和感・・・といった咽頭炎症状,
それに咳が,
急性に(昨日から,一昨日から),
同時に,同程度に起こってきた・・・
となれば,やはりウイルス性のかぜの可能性が高くなります.

この場合,抗生剤などは通常必要なしということになるのですが,
やっぱり抗生剤が欲しいのです・・・,
とおっしゃる患者さんが意外と多いです.

インフルエンザウイルスには
有効な抗ウイルス薬がいろいろ開発されていますが,
かぜの原因となる多くのウイルスに効く薬はありません.
抗生剤もウイルスには効きません.
効果があるのは細菌感染です.
(それも感受性のあるものだけ.
耐性になっていたらだめなのです)

ですから,抗生剤を処方するのは
次の様な場合になります.
細菌性の副鼻腔炎を起こしている場合.
細菌性の肺炎を起こしている場合.
溶連菌による咽頭炎の場合.
それにもちろん,重症な菌血症や髄膜炎,心内膜炎・・・などが
隠れている場合.
重大な慢性の病気にかかっている場合.
(よく,基礎疾患がある,といいます.)
などですね.

抗生剤の乱用は耐性菌を生み出す原因に
なってしまいます.

また,マイコプラズマ,クラミジアなども一般抗生剤は効果ありません.
マクロライド系・テトラサイクリン系などの
抗菌薬を使う必要があります.
  
タグ :かぜ抗生剤


Posted by ママさんドクター  at 15:29Comments(0)とうきょうキッズメディカルスクール

2012年02月02日

かぜの原因は

かぜは、おもにウイルスなどの感染による
上気道の炎症だと書きました。

おもにウイルス、
と書いた通り、
ウイルス以外の病原体が原因のこともありますし、
ウイルスが原因としても、
かなりいろいろなウイルスが原因となることが
知られています。

だから、かぜの原因は一つではありません。
原因はさまざまでも、似たような症状をおこす病気を
ひっくるめてかぜと言っているわけです。
このような病気を症候群、といいます。
かぜは、かぜ症候群なわけです。

(後天性免疫不全症候群(AIDS)などのように、
原因がわかった後も、症候群とそのまま呼ばれ続けている病気も
ありますが・・・)

たとえば、鼻かぜの原因となる代表的なウイルスに
ライノウイルス
があります。
ライノウイルスを特定する方法もあるにはあるのですが、
自然に治ってしまうことがほとんどのため、
そのような検査をわざわざ行うことは通常ないわけです。

でも、一部のかぜのウイルスは特徴的な症状を示すことがあります。
アデノウイルスによるプール熱(咽頭結膜炎)や
インフルエンザも
かつてはかぜ症候群のひとつのタイプと分類されたりもしていました。
むかし大流行したインフルエンザはスペイン風邪とかアジア風邪と
言われていましたね。
でも今では、診察室で手軽に行える検査法も普及し、
インフルエンザなどでは治療法まではっきりしてきたので、
分けて考えられるようになってきました。

ウイルス以外では、
マイコプラズマ肺炎のお話を前に書きましたが、
マイコプラズマやクラミジア感染症も
軽ければ必ずしも肺炎ではなく、
ちょっと咳がひどい上気道炎
といった症状を示すことがあります。

  


Posted by ママさんドクター  at 14:23Comments(0)医療お役立ち情報

2012年02月01日

かぜは万病のもと・・その2

かぜの話の続きです.

熱が出て,ちょっと咳が出る,
といって,かぜと決めつけてはいけない話はしましたが,

典型的なかぜから,いろいろな合併症が起こってくることもあります.

かぜから,細菌性の肺炎.
かぜをきっかけに,中耳炎,副鼻腔炎.

また,慢性の持病を持っている方がかぜにかかると
病気のコントロールが悪化することもあります.

糖尿病の方がかぜを引いて,
血糖値が上昇.
慢性心不全の方がかぜを引いて,
コントロールが悪化.

などです.

こんな点も,
かぜは万病のもと,といわれる理由の一つですね.  
タグ :かぜ


Posted by ママさんドクター  at 17:13とうきょうキッズメディカルスクール