マイコプラズマ肺炎の診断~進歩と限界~
前回に引き続きマイコのお話.
マイコプラズマ肺炎の診断についてです.
典型的な症状の時は,
診断もしやすいのですが・・・
感染症の診断と言えば,まずは病原体の分離培養です.
ところが
マイコプラズマは培養,つまり試験官の中で育てるのが難しく,
時間もかかるので,
(だから,感染したときも発症するまでの潜伏期が長いです)
実用的とはいえません.
次に,
感染症にかかったとき,ヒトの体の中でふえる抗体を
検出する方法です.
最近は,診察室で検査も可能な迅速診断キットもあります.
(インフルエンザの迅速診断でもおなじみ,
イムノクロマトグラフ法といわれる検査です.)
でも,鼻腔ぬぐい液などからウイルスを検出するインフルエンザとちがい,
マイコでは,
身体が感染に反応して作り出した抗体を血液の中から検出します.
(要は採血が必要ということです)
IgMというタイプの抗体を検出するのですが,
大人ではあまりIgM抗体が上がらない方が多いようです.
逆に子供では以前の感染の影響で,
いつまでもIgM抗体が検出されてしまったり・・・
初診時にこれだけで診断をつけるのは難しいところです.
結局は病気のかかりはじめと,その後と,2回採血をして,
抗体価が4倍以上あがっていれば陽性
というのが年齢に関わらず信頼性が高いようです.
でも,早期診断には役立ちませんね.
また,最近では菌体自体のDNAを遺伝子増幅法を用いて
1時間ほどで検出することも可能になってきました.
もっとも,菌体がふくまれた検体をキチンと採取する必要があります.
簡単に採取できる喉などの上気道のぬぐい液などで
検査するのは難しいのはネックかもしれません.
関連記事